薄毛に有効な育毛剤成分① ミノキシジルの効果

薄毛や禿げで育毛をしようかと考えている人がまず考えるのが頭皮に直接塗るタイプの育毛剤ではないでしょうか?そしてリアップという育毛剤の名前くらいは知っている人も多いことと思います。この記事ではリアップに含まれている有効成分『ミノキシジル』について詳しく解説していきます。

薄毛を改善する育毛剤成分『ミノキシジル』

ミノキシジルは30年以上も前から毛を増やすことが知られていました[1]。ミノキシジルは飲み薬として高血圧の治療に使われたのが最初です[2]が、高血圧治療でミノキシジルを使用していると、患者さんの体毛が増え濃くなることが観察されたのです[2]。そこでこのミノキシジルの毛を増やし太くする副作用を薄毛の治療に応用しようと考えたのがミノキシジル配合の育毛剤のはじまりです。先ほど述べたようにミノキシジル製剤を飲んでしまうと全身の毛が増えてしまうため薄毛になっている頭皮だけに直接塗って使うことで髪の毛の育毛剤として使うことができます。

AGAは男性ホルモンが関係している男性の薄毛で一番多い薄毛の原因です。女性のAGAもあり、ミノキシジルは最初AGAの薄毛の育毛剤として開発されたのでした。海外では女性用育毛剤には2%ミノキシジル濃度、男性用育毛剤には5%ミノキシジル濃度で使われています[2]。日本では女性は1%などの低濃度の使用で適用がありますが、高濃度のミノキシジル育毛剤は女性は適用がないのでご注意を。日本ではリアップ1%とリアップリジェンヌという商品が低濃度ミノキシジル育毛剤として売られています。

日本ではリアップのミノキシジル濃度は5%が限界ですが海外ではさらに高濃度のミノキシジル育毛剤が売られています。例えば私が現在使用している7%ミノキシジル育毛剤のポラリスは日本のミノキシジル濃度の制限を超えているため自己責任にて自分用に通販で購入して毎日使用しています。リアップと異なりスプレー式で気になるM字部位や頭頂部の薄毛の部位に吹きかけ頭皮になじませます。

7%ミノキシジルポラリス

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ミノキシジルは抜け毛を減らし毛を長く太くする

【毛周期】成長期の延長

薄毛の原因は髪の毛の成長サイクル(毛周期)に異常があるためです。毛包のサイクルは髪が成長して太くなる①『成長期』②『退行期』③『休止期』の順で一生涯成長と抜け毛を繰り返しています。

毛周期

薄毛の人は成長期が短いため毛がのびて太くなる前に細く短くなって抜けてしまいます。ミノキシジルは成長期の期間をのばして抜け毛を防いでくれます[1][2][4]。ミノキシジルは毛の根元の『毛乳頭細胞』の増殖作用と細胞の自殺『アポトーシス』を減らす作用を通じて成長期をのばします[4]。

【毛周期】休止期の短縮

髪の毛の成長が止まっている『休止期』から毛がどんどん太く長く成長する『成長期』になかなか入らないと薄毛になります。ミノキシジルは休止期を短縮し毛がのびて太くなる成長期に早めに入る作用があります[1]。

血液からの栄養補給の増加

毛が成長するためには血液からの酸素や栄養が必要です。ミノキシジルは高血圧の治療に使われていたことからも分かるように血管を広げて酸素や栄養素が髪の毛に十分届けられるようになります[1][2]。またミノキシジルは血管を増やす成長因子VEGFを増やすためさらに酸素と栄養が頭皮に周りやすくなります。

ストレスで髪の毛が抜けてハゲになると言われてきました。脳と皮膚、腸は関連しておりどこかにストレスがあると他の部位にも影響を与えることがわかってきました[5]。ミノキシジルはAGAによる薄毛だけでなくストレスによる抜け毛を減らす効果がある育毛剤成分でもあります[5]。

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また、ミノキシジルは他の育毛剤と併用されることがあります。例えば育毛剤としての効果がある『プラセンタ』との併用で髪の毛が増える効果も報告されています[3]。

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ミノキシジル育毛剤の副作用

育毛剤で心配なのが副作用だと思います。ミノキシジルを使った育毛剤の副作用には大きく3つあります。

皮膚に刺激を感じる

育毛剤に限った話ではないのですが、有効成分ではないプロピレングリコールに対するアレルギー反応が報告されています[2]。プロピレングリコールはその育毛剤が生薬を配合している育毛剤である場合には、いくつかの育毛剤中に入っていることがあります。

アレルギー

育毛剤も化粧品と同様に地肌に塗るものですから合う合わないが必ずあります。もし痒みや湿疹がでたら使用を中止し、皮膚科に診てもらいましょう。

一時的に毛が抜ける

ミノキシジルを使用していると毛が抜けることがあります[2]。先ほども述べたようにミノキシジルは成長期をのばし、休止期を短くする作用があるため薄毛の休止期にはいっている毛は抜けて成長期に入る毛が多くなるからです。つまり毛周期が『同期』する毛が増えたということになります[2]。

【参考文献】

  1. Minoxidil: mechanisms of action on hair growth. Messenger AG et al., Br J Dermatol. 2004 Feb;150(2):186-94.
  2. Minoxidil use in dermatology, side effects and recent patents. Rossi A et al., Recent Pat Inflamm Allergy Drug Discov. 2012 May;6(2):130-6.

  3. Potential synergistic effects of human placental extract and minoxidil on hair growth-promoting activity in C57BL/6J mice. Kwon TR et al., Clin Exp Dermatol. 2015 Aug;40(6):672-81. doi: 10.1111/ced.12601. Epub 2015 Mar 18.
  4. Effect of minoxidil on proliferation and apoptosis in dermal papilla cells of human hair follicle. Han JH et al., J Dermatol Sci. 2004 Apr;34(2):91-8.
  5. Topical minoxidil counteracts stress-induced hair growth inhibition in mice. Arck PC et al., Exp Dermatol. 2003 Oct;12(5):580-90.