薄毛の原因にはいくつか明確に判明しているものがあります。今回検証する塩化カルプロニウムという成分は何を改善するため薄毛が改善するのか?を分かりやすく述べていきます。
血流と薄毛
薄毛の原因にはいくつかありますが毛を作っている細胞周辺の血流が悪くなると薄毛になります。血流が悪くなると毛の成長に必要な栄養や酸素が少なくなるためです。タバコは薄毛の原因ですが、ニコチンは血管収縮作用があるため毛に血液の流れが悪くなっているのです。
また、ストレスを感じると交感神経が働いて血管が収縮して毛髪への血流が悪くなってしまいます。怒りやすい人やイライラしやすい人はハゲるというジンクスもありましたが一理ありそうです。
薄毛の原因には活性酸素で毛母細胞や幹細胞、細胞外マトリックスを作っている細胞など育毛に必要な細胞がダメージを受けることもあります。実際、薄毛の人は活性酸素レベルが高く、抗酸化物質が減っています[4]。
塩化カルプロニウムの育毛作用
血流を増やす育毛剤
有名な育毛成分にミノキシジルがありますが、ミノキシジルは血行を改善することで育毛効果を発揮します。
ミノキシジルと同様に『塩化カルプロニウム』にも毛根の血流を増やす作用があります[1]。血流を増やすには血管の太さを調整している筋肉を緩めると血流が増えるのですが、塩化カルプロニウムは副交感神経を働かせて血管を緩め血管を拡張することで血流を増やしてくれます[1][3]。外用で使用する分には塩化カルプロニウムを育毛に使っても全身の血圧に異常はありません[1]。
また、塩化カルプロニウムは円形脱毛症の治療にも使用され成果を出したという報告もあります[2]。
日本で買える塩化カルプロニウム配合の育毛剤には『カロヤン』があります。
カロヤンは2%が限度ですが海外では5%の塩化カルプロニウム育毛剤も購入可能ですが、『アロビックス』という商品名で個人輸入で自分用にしか購入できません。
活性酸素を減らす育毛剤
男性型脱毛症でも円形脱毛症の患者さんでも活性酸素レベルが上がってスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)などの抗酸化物質が減っています[5][6]。活性酸素は毛乳頭細胞に炎症を起こしハゲの原因になっています。
交感神経が優位になると活性酸素を発生させますので、薄毛対策にはリラックス状態のなるべく副交感神経を優位にしておくことが有効な対策の一つになります。塩化カルプロニウムは交感神経を抑えて副交感神経を優位にする作用があります。そのため塩化カルプロニウム入りの育毛剤は活性酸素を減らすことになるため育毛剤成分として有効だと考えられます。
まとめると塩化カルプロニウムは副交感神経を高め頭皮の血流を増やし活性酸素を抑えて髪の毛を成長させる育毛剤成分ということができます。
【参考文献 】
- Effects of carpronium chloride on the microvascular blood flow in rat mesentery using intravital videomicroscopy. Minamiyama M et al., Clin Hemorheol Microcirc. 2006;34(1-2):125-9.
- Seventeen cases of alopecia areata: combination of SADBE topical immunotherapy with other therapies. Morita K et al., J Dermatol. 2002 Oct;29(10):661-4.
- Antioxidants and lipid peroxidation status in the blood of patients with alopecia. Naziroglu M et al., Cell Biochem Funct. 2000 Sep;18(3):169-73.
-
Oxidative stress in androgenetic alopecia. Prie BE et al., J Med Life. 2016 Jan-Mar;9(1):79-83.