頭皮は毛穴が大きいため外用育毛剤の成分も浸透しやすいのですが、直接頭皮に注射する方法は頭皮内にダイレクトに入れることができるため効きそうです。この記事では注射による薄毛治療の効果と安全性を知ってから正しい選択ができるよう科学的に検証してみます。
薄毛の有効成分フィナステリドとミノキシジル
薄毛の治療でまず試すべきは『フィナステリド』と『ミノキシジル』の組み合わせです。これら2つはアメリカのFDAで認められた薄毛治療薬で日本でも多くの人が知っている有名な育毛薬成分です。フィナステリド製剤は処方薬ですので男性クリニックでお医者さんに処方してもらってください。昔はプロペシアしかありませんでしたが現在では日本でもジェネリックを買うことが可能です。ミノキシジル配合の育毛剤は普通に薬局や通販などで購入でき日本ではリアップとして売られています。
男性型脱毛症(AGA)は男性のほとんどの薄毛の原因ですので5αリダクターゼという酵素を抑えて男性ホルモンによる薄毛作用を抑えるフィナステリドは非常に効果的です。女性の薄毛治療にはミノキシジルが日本では一般的に使われますが世界的にはAGA治療薬のフィナステリドやさらに強力な5αリダクターゼ阻害作用があるデュタステリドも使われています[1]。
フィナステリドとミノキシジルで薄毛が改善しない場合
では、ミノキシジルのような頭皮に塗って使う外用育毛剤とフィナステリドのような飲み薬で薄毛がイマイチ改善しなかったらどうしたらよいでしょう?
育毛効果がいまいち感じられない場合、まず考えられる原因は使用する期間が短く育毛効果が出る前にやめてしまうことです。私の経験から言って使って数か月で効果は出なかったので年単位で信じて使い続けることで髪の毛が増えていくと考えています。ですのでフィナステリドとミノキシジルの治療を数か月で薄毛が改善されないとあきらめるのはやめましょう。
2,3年経っても髪の毛が増えたと実感できない場合はメソセラピーで直接頭皮に注射してしまおうかと考える人も出てくるかと思います。確かにメソセラピーでミノキシジルやフィナステリド、デュタステリドなどの薄毛治療薬やビタミンなどの抗酸化成分あるいはハーブエキスなどを『カクテル』にして注射すると髪の毛が増えたという報告もあります[1][2][5]。
メソセラピーで注意しなければならないことは、注射したところがむしろハゲてしまったという報告がいくつかあるのです[3][4][5]。ハゲてしまった部位の毛包を詳しく調べると髪の毛が太く長く成長する時期(成長期)にある毛包がなくなって、代わりに毛包が小さくしぼんでいく退行期と抜け毛を待つだけの休止期の毛包が増えていました[3]。
さらに炎症が起きてケロイド(瘢痕組織)になって注射後にハゲになったとの報告もあります[4]。しかもこの注射によるメソセラピーも薄毛治療の即効性はなく半年~1年は続けないと薄毛が改善されません[2]。
そのためメソセラピーで薄毛治療をするのは効果が実証されている飲み薬のフィナステリドや塗り薬のミノキシジルより優先される薄毛治療ではないと考えます。今後は毛包を傷つけにくくするために針を細くするなどの技術革新で頭皮への注射による薄毛治療が安全にできる可能性はあるので今後に期待です。
【参考文献】