日本で薄毛の治療薬成分といえば『リアップ』で外用育毛剤に使われているミノキシジルか『プロペシア』などの飲み薬のフィナステリドが一般的ですが、世界ではジェネリックも含めこれらの他にもたくさんの育毛剤成分が使われています。
『酢酸シプロテロン』という成分も薄毛治療に使われる成分です[1][2][3][4]。以前書いた薄毛治療薬の『スピロノラクトン』と同じく男性ホルモンが抜け毛のスイッチを押さないよう防いでくれる効果があります[4]。
思春期には男性ホルモンが原因でニキビが増えますよね。男性ホルモンの作用を抑える酢酸シプロテロンはニキビの治療薬でもあるのです[2]。男性ホルモンが原因の薄毛を『男性型脱毛症』通称AGAと呼んでいますが、AGAの人の髪の毛は成長している毛が少なく、逆にしぼんで抜け毛を待つばかりの状態の毛が増えています。
酢酸シプロテロンは男性ホルモンが抜け毛のスイッチ『男性ホルモン受容体』と結合するのを防ぐ効果があるので髪の毛が成長できる『成長期』をのばし、抜け毛の時期『休止期』を減らして育毛効果を発揮します[1]。
心配なのが副作用ですが、1日2mgであれば酢酸シプロテロンの長期間使用しても重篤な副作用はなかったとの報告もあります[3]。また、スピロノラクトンと同様に胸が大きくなる女性化も考えられます。
つまり、酢酸シプロテロンは男性ホルモンが受容体に結合するのを防いで抜け毛を減らす薄毛治療薬成分です。
【参考文献】
- The effect of cyproterone acetate on hair roots and hair shaft diameter in androgenetic alopecia in females. Peereboom-Wynia JD et al., Acta Derm Venereol. 1989;69(5):395-8.
- Shortness of breath: an uncommon side-effect of cyproterone acetate in the treatment of androgenetic alopecia.Mallari R et al., Int J Dermatol. 2002 Dec;41(12):946-7.
- [Long-term side-effects following cyproterone acetate containing therapy in gynecology].[Article in German] Regidor PA et al., Zentralbl Gynakol. 2000;122(5):268-73.
- Hair loss in women: medical and cosmetic approaches to increase scalp hair fullness. Sinclair R et al., Br J Dermatol. 2011 Dec;165 Suppl 3:12-8. doi: 10.1111/j.1365-2133.2011.10630.x.