わかめや海苔は薄毛に有効なのか?

海苔や海藻は薄毛に有効?

昔から髪の毛に良いとされる食べ物として海苔やわかめなどの海藻がありました。小さい頃は色が黒く髪の毛に似ているからなのかと勝手に想像していましたが、この記事で本当に海苔を食べると薄毛改善になるのか医学論文で検証していきたいと思います。

アラキドン酸は抜け毛を減らす

海苔や海藻には髪の毛を作ってのばしてくれる『毛乳頭』の細胞を増やす作用がある成分がいくつか含まれています[1][4]。

毛穴構造

その育毛効果がある成分のひとつに『アラキドン酸』があります。アラキドン酸は海藻に多く含まれる多価不飽和脂肪酸でオメガ6の脂肪酸です。

オメガ6脂肪酸は『リノール酸』が有名ですがこれらの多価不飽和脂肪酸は男性型脱毛症でより強力な男性ホルモン『ジヒドロテストステロン』を作る『5αリダクターゼ』の働きを弱めてくれます。薄毛に効果がある飲み薬『フィナステリド』もこの5αリダクターゼの働きを弱めるために薄毛治療に使われているのです。

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アラキドン酸は髪の毛の成長サイクルである『毛周期』の『成長期』を開始したり成長期を長くしたりする作用があります[4]。

毛周期

コラーゲン繊維を増やし髪を増やしてくれる

また、海苔や海藻にはポリフェノールが含まれておりさまざまな成長因子を出します。髪の毛を増やしてくれる成長因子には『IGF-1』や『VEGF』があります[2]。このような成長因子は髪の毛を太く長く成長させるとともに真皮のコラーゲン繊維を増やす作用があります。真皮のコラーゲン繊維が増えると頭皮が厚くなるため髪の毛も長く生えることができるため薄毛に有効です。さらに近年、髪の毛の元となる『幹細胞』周囲のコラーゲン繊維が減ると幹細胞が減っていくことが判明しています。

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活性酸素や炎症を抑えてくれる

さらに海苔や海藻にはポリフェノールなど活性酸素を消去する『抗酸化作用』がある成分が含まれている[1][2]ため毛乳頭周囲で起きているハゲの原因『炎症』や活性酸素を弱めてくれる作用が期待されます。

つまり、海苔や海藻はハゲの主な原因の男性ホルモンや活性酸素を改善してくれる作用があり、毛乳頭細胞を増やして髪の毛を成長させる効果があるということになります。

【参考文献】

  1. Hair-Loss Preventing Effect of Grateloupia elliptica. Kang JI et al., Biomol Ther (Seoul). 2012 Jan;20(1):118-24. doi: 10.4062/biomolther.2012.20.1.118.
  2. Enhancement of Human Hair Growth Using Ecklonia cava Polyphenols. Shin H et al., Ann Dermatol. 2016 Feb;28(1):15-21. doi: 10.5021/ad.2016.28.1.15. Epub 2016 Jan 28.
  3. The Edible Red Seaweed Gracilariopsis chorda Promotes Axodendritic Architectural Complexity in Hippocampal Neurons. Mohibbullah M et al., J Med Food. 2016 Jul;19(7):638-44. doi: 10.1089/jmf.2016.3694. Epub 2016 Jun 22.
  4. Role of Arachidonic Acid in Promoting Hair Growth. Munkhbayar S et al., Ann Dermatol. 2016 Feb;28(1):55-64. doi: 10.5021/ad.2016.28.1.55. Epub 2016 Jan 28.