乳酸菌は育毛に効果があるのか?

乳酸菌は薄毛対策に効果があるの?

乳酸菌はヨーグルトはもちろんサプリや化粧品にも使われていています。このように積極的に乳酸菌など善玉菌を与えて増やす『プロバイオティクス』の手法は腸内環境を整え皮膚や脳などの様々な器官に働きかけて免疫を調整したり炎症を抑えてくれる作用があります。そこで今回は乳酸菌が頭皮や髪の毛にどのように作用するのかを医学論文で検証してみたいと思います。

乳酸菌はストレス解消して薄毛を予防する

よくストレスを受けるとお肌が荒れるとかハゲると言われています[1][3]が、ストレスはコルチゾールが増えるので活性酸素も増えて炎症が起こり髪の毛の薄くなったり肌が荒れたりするのです。

薄毛(ハゲ)とストレスの関係性について
ストレスを感じるとなんとなく抜け毛が増えてハゲていきそうという印象はありませんでしたか?結論から言うとストレスは髪の毛にあまり良い影響を与え...

実はストレスを受けた時にストレス解消の一つとして乳酸菌を補給することも有効なことが分かってきました。乳酸菌は『オキシトシン』というホルモンを脳から分泌させてコルチゾールを減らす働きがあるのです[2]。オキシトシンは皮膚と皮膚が触れ合うスキンシップで脳の下垂体から分泌されストレス解消作用があるストレス解消ホルモンです。このようにスキンシップしなくてもヨーグルトなどの乳酸菌プロバイオティクスを摂取してもオキシトシンを増やすことができるので仕事中でも手軽にストレス対策できます。

乳酸菌は炎症を抑えて薄毛になりにくくする

男性型脱毛症(AGA)など薄毛やハゲの人の毛根には炎症や活性酸素が発生していて髪の毛を作る『毛母細胞』や幹細胞にダメージを与えています。

毛穴構造

オキシトシンが足りなくなると皮膚や頭皮に炎症と活性酸素が増える[5]ことがわかっていますので、乳酸菌が脳から分泌させたオキシトシンはこれらの炎症や活性酸素を防いでくれるので髪の毛が成長しやすくなると言えます。

さらに乳酸菌は抗炎症成分のIL-10という物質も出して[2]毛根の炎症や活性酸素を消去してくれます。本来、乳酸菌などのプロバイオティクスの健康効果は行き過ぎた免疫を調節してくれる作用です。そのため過剰な免疫の働きで炎症や活性酸素がむやみに発生しないようにしてくれるのです。この免疫調節作用も毛根の炎症を防いで抜け毛や薄毛予防になると考えられます。

つまり乳酸菌は免疫を調節してくれるだけでなく脳のオキシトシンを分泌させてストレスによる薄毛を改善し、抗炎症作用で薄毛の原因となっている炎症や活性酸素を消去して育毛に効果があるということです。

【参考文献】

  1. Is there a ‘gut-brain-skin axis’? Arck P et al., Exp Dermatol. 2010 May;19(5):401-5. doi: 10.1111/j.1600-0625.2009.01060.x. Epub 2010 Jan 25.
  2. Probiotic ‘glow of health’: it’s more than skin deep. Erdman SE et al., Benef Microbes. 2014 Jun 1;5(2):109-19. doi: 10.3920/BM2013.0042.
  3. Hair growth inhibition by psychoemotional stress: a mouse model for neural mechanisms in hair growth control. Peters EM et al,.Exp Dermatol. 2006 Jan;15(1):1-13.
  4. [Oxytocin, a mediator of anti-stress, well-being, social interaction, growth and healing].[Article in German] Uvnas-Moberg K et al., Z Psychosom Med Psychother. 2005;51(1):57-80.
  5. Oxytocin modulates proliferation and stress responses of human skin cells: implications for atopic dermatitis. Deing V et al., Exp Dermatol. 2013 Jun;22(6):399-405. doi: 10.1111/exd.12155.
  6. Immunomodulation by commensal and probiotic bacteria. Forsythe P et al., Immunol Invest. 2010;39(4-5):429-48. doi: 10.3109/08820131003667978.