ネシナカズラ属のつる植物は薄毛を改善するか?

ネシナカズラ属は他の植物に寄生する蔓(つる)状の植物です。このネシナカズラのエキスが薄毛に有効だという民間療法がありましたので本当にハゲに効果があるのか医学論文で調べてみました。

ネシナカズラ File:Cuscuta europaea bgiu.jpg

ほとんどの男性の薄毛やハゲは男性ホルモンがジヒドロテストステロン(DHT)に変換されてアンドロゲン受容体に結合することが原因となっておりこの変換に必要な酵素が5αリダクターゼです。この5αリダクターゼを阻害すると髪の毛が増えてくるため、医薬品として利用されているのがフィナステリドという物質です。日本ではフィナステリド錠は『プロペシア』しかありませんでしたが近年はジェネリックも販売され男性クリニックで医師から処方医薬品として購入が可能となっております。フィナステリドのハゲ治療薬としての効果について興味がある方はこの記事がお役に立つことと思います。

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ネシナカズラのエキスは5αリダクターゼ阻害作用がある

髪の毛や体毛は下の図のように成長サイクルがあり髪の毛は通常約5年は成長期にあります。

毛周期

ネシナカズラのエキスはフィナステリドと同様に5αリダクターゼを阻害する効果が報告されており、髪の毛の成長期の期間をのばして毛を太く長く成長させながら、休止期を減らすことで抜け毛を減らしたとしています[1]。

自然界にはこのネシナカズラのように5αリダクターゼ阻害作用を持っている植物がいくつか報告されています。パパイヤの葉から抽出されるアゼライク酸も5αリダクターゼ阻害作用をもつ天然成分の一つです。

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ネシナカズラのエキスは抗炎症作用を持っている

また、別の細胞実験の報告ではネシナカズラのエキスは病原菌のLPS(内毒素)による炎症を軽減し抗炎症作用があったと報告されています[2]。一般にハゲている頭皮の毛包は炎症レベルが高くなっていてこれも抜け毛の原因とされていますので、抗炎症作用は育毛にプラスの効果があると推測されます。

まとめると、寄生植物ネシナカズラのエキスはハゲの原因である5αリダクターゼを阻害してフィナステリド同様の機序で薄毛を改善することが示唆されている。また抗炎症作用も併せ持っていることも毛包の炎症を軽減して育毛作用を発揮する可能性があるということです。

【参考文献】

  1. Effect of Cuscuta reflexa Roxb on androgen-induced alopecia. Pandit S et al., J Cosmet Dermatol. 2008 Sep;7(3):199-204. doi: 10.1111/j.1473-2165.2008.00389.x.

  2. In vitro anti-inflammatory and anti-cancer activities of Cuscuta reflexa Roxb. Suresh V et al., J Ethnopharmacol. 2011 Apr 12;134(3):872-7. doi: 10.1016/j.jep.2011.01.043. Epub 2011 Feb 1.