タマネギジュースを塗ると薄毛やハゲが改善するって本当?

ハゲを改善して髪の毛を生やすとされる民間療法はたくさんありますが今回はタマネギジュースを禿げている頭皮に塗布すると髪の毛が生えてくるという民間療法がありましたので医学論文で調べてみました。

タマネギジュースが円形脱毛症に効く可能性

Onions

まず自己免疫疾患と考えられている円形脱毛症に対してタマネギジュースを塗布すると対照として水をかけただけの頭皮と比べて毛が増えていたという報告があります[1]。タマネギには抗炎症作用があるフラボノイドが含まれていることや、免疫調節作用があることも報告されています[2]。

ネギ属のエキスはIGF-1を活性化する

また、同じネギ属のニラの有機溶媒(ブタノール)抽出エキスをマウスに塗布すると毛包の数が増えたという報告もあります[3]。ニラを塗布したマウスではIGF-1(インスリン様成長因子)を増やすことで毛を増やしたと結論づけています。このIGF-1は夜深い睡眠に入っていると脳の下垂体から成長ホルモンが分泌され肝臓でIGF-1に変換されるホルモンです。IGF-1は皮膚や髪の毛の成長を促進する作用があります。

IGF-1を増やすことで育毛作用を発揮すると言えばアスコルビン酸(ビタミンC)もそうです。以前、ビタミンC誘導体美容液の育毛作用について考察していますので興味がありましたらそちらも読んでみてください。

ビタミンC誘導体は薄毛に効果があるのか?
皮膚では紫外線や大気中の微粒子による活性酸素の放出を減らすためビタミンC誘導体の塗布が老化を防ぐのに有効です。そこでビタミンCの抗炎症・抗酸...

一般に、ネギ属の植物にはタマネギの様にIGF-1を増やして皮膚や髪の毛に必須の経路を活性化する作用があることが推測されますが、IGF-1はmTOR(エムトール)というタンパクを活性化してオートファジーを抑制してしまうため寿命の観点からはデメリットがあります。頭皮や皮膚などの局所に塗布して使用する分には見た目のアンチエイジングとして有効活用できる可能性があります。

まとめると、ネギ属の植物には円形脱毛症も含め髪の毛を増やす作用があることが示唆されているということです。その機序として考えられているのはIGF-1の活性化と抗炎症、免疫調節作用です。

【参考文献】

  1. Onion juice (Allium cepa L.), a new topical treatment for alopecia areata. Sharquie KE et al., J Dermatol. 2002 Jun;29(6):343-6.

  2. Immunomodulatory effect of red onion (Allium cepa Linn) scale extract on experimentally induced atypical prostatic hyperplasia in Wistar rats. Elberry AA et al.,Mediators Inflamm. 2014;2014:640746. doi: 10.1155/2014/640746. Epub 2014 Apr 13.

  3. Extract of Allium tuberosum Rottler ex Spreng Promoted the Hair Growth through Regulating the Expression of IGF-1. Park KM et al., Evid Based Complement Alternat Med. 2015;2015:413538. doi: 10.1155/2015/413538. Epub 2015 May 20.