周りを見ていると30代くらいから薄毛や白髪が増えてきていると感じることが多いと思います。実際、アジア人の男性も女性も30代くらいから薄毛が増えることが統計的にわかっています。
では髪の老化で分かりやすいのが薄毛と白髪ですが、なぜ30代ごろから薄毛や白髪が増えていくのでしょう?
髪の毛やメラニン色素の幹細胞が減っていく
白髪にならないよう髪を黒く保っているメラニン色素のことを『メラノサイト』と呼びます。このメラノサイトと髪の毛を作っている毛乳頭の細胞は30歳を過ぎてくると機能が落ちてきたり細胞が減らないように補給してくれる『幹細胞』が減っていくのです[1][2][3][4]。
幹細胞は年齢とともに老化して髪の毛を作りにくくなったり、メラニン色素が黒くなるために必要な『チロシナーゼ』をあまり作らなくなっていきます[1]。そのため髪の毛の成長サイクル『毛周期』で約10サイクルつまり40代くらいからメラノサイトがきちんと機能しなくなってきます[1]。
この幹細胞は毛穴からわずか1~2mmの浅いとことにあり髪の毛をつくる幹細胞とメラニン色素を作る幹細胞が一緒に存在しており『バルジ領域』と呼ばれます。老化した幹細胞は頭皮の角質のターンオーバーとともにフケとして出されて数が減っていく[3]ため毛根を覆っている『毛包』が小さくなって産毛が増えたり抜け毛が増えて薄毛になるのです。
この髪の毛の幹細胞を減らさないようにするにはシャンプーやリンスで合成界面活性剤を使用せず、石けんベースの洗剤で洗うことや紫外線対策に日傘やビタミンC誘導体、ビタミンE誘導体の美容液や化粧水を塗ること、ドライヤーを一か所であてないなどがあります。
活性酸素が増えていくと白髪が増え薄毛になる
老化とは活性酸素が増えていくことでもあるのですが年齢ともに活性酸素が増えると先ほど述べた幹細胞や毛乳頭の細胞、メラノサイトなどの機能が衰えたり数が減っていきます。ですので活性酸素を消去するようなポリフェノールやビタミンたっぷりの野菜を食べたりサプリで補給することも白髪や薄毛の対策になります。実際、AGAの毛包周囲は炎症と活性酸素レベルが上がっていることが知られています。
そのほか大気中を浮遊してる汚染物質であるPM2.5などの微粒子[5]や日光の紫外線を浴びることも活性酸素を発生させるため白髪や薄毛の原因になります。
このように30代や40代で白髪や薄毛が増えてくるのはこのような環境ストレスを浴び続けた悪影響が積もり積もって現れてくる時期でもあるのです。
【参考文献】
- Hair cycle and hair pigmentation: dynamic interactions and changes associated with aging. Van Neste D et al., Micron. 2004;35(3):193-200.
- Human hair greying is linked to a specific depletion of hair follicle melanocytes affecting both the bulb and the outer root sheath. Commo S et al., Br J Dermatol. 2004 Mar;150(3):435-43.
- Hair follicle aging is driven by transepidermal elimination of stem cells via COL17A1 proteolysis. Matsumura H et al., Science. 2016 Feb 5;351(6273):aad4395. doi: 10.1126/science.aad4395. Epub 2016 Feb 4.
- Melanocyte stem cells: a melanocyte reservoir in hair follicles for hair and skin pigmentation. Nishimura EK et al., Pigment Cell Melanoma Res. 2011 Jun;24(3):401-10. doi: 10.1111/j.1755-148X.2011.00855.x. Epub 2011 May 5.
- Air pollution and skin diseases: Adverse effects of airborne particulate matter on various skin diseases. Kim KE et al., Life Sci. 2016 May 1;152:126-34. doi: 10.1016/j.lfs.2016.03.039. Epub 2016 Mar 25.